仕事とわたしと装いと

「衣」について考えたとき、最初に浮かんだ言葉は「わたしらしさ」でした。
装いやまわりを取り巻くものは、わたしを表す大きな要素。わたしらしくありたい、わたしらしくなりたい、と思ったり。
働いている時、わたしらしさはどうなっているんだろう。
これから歳を取ると、わたしらしさはどうなっていくんだろう。って考えたり。
今号のBRIDGEは「衣」について、いろいろな方のお話をきいてきました。
まずは、福祉職場で働いている職員の方々の、ざっくばらんな仕事服トークから始めます。

今回のトークメンバー MEMBER

  • 社会福祉法人よつば会 赤松 卓哉さん
    社会福祉法人よつば会
    赤松 卓哉さん
  • 社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋 垣内 詳美さん
    社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋
    垣内 詳美さん
  • 社会福祉法人みねやま福祉会 櫛田 彩子さん
    社会福祉法人みねやま福祉会
    櫛田 彩子さん
  • 社会福祉法人京都府社会福祉事業団 久保田 真実さん
    社会福祉法人京都府社会福祉事業団
    久保田 真実さん
  • 社会福祉法人南山城学園 坂本 瑠さん
    社会福祉法人南山城学園
    坂本 瑠さん
  • 社会福祉法人レモングラス 猿渡 杏奈さん
    社会福祉法人レモングラス
    猿渡 杏奈さん
  • 社会福祉法人同和園 嶋田 啓介さん
    社会福祉法人同和園
    嶋田 啓介さん
  • 社会福祉法人大樹会 時岡 享平さん
    社会福祉法人大樹会
    時岡 享平さん
  • 社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋 西村 翼さん
    社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋
    西村 翼さん

仕事服のイメージ?と実際!

嶋田さん
学生の頃は介護士の服装=制服というイメージでした。うちの法人では介護士の制服はなくて、より「日常」の空間を作れているのかと思います。
時岡さん
分かります。私も以前は、制服があって、「施設」を連想するような暗めのイメージでした。仕事をはじめてみると、みんな普段着で仕事をしていて、「生活」の中に職員も溶け込んでいますよね。
赤松さん
私は、施設は利用者さんの第2の自宅である一方、利用者さんとの関わりは「自分の生活の一部」であるとも考えるようになりました。自分の家族以上に利用者さんと一緒に過ごす時間が多い事に気が付いて。
垣内さん
ただ、職員と利用者さんの関係性を忘れないことが大切だと思っています。私たちの職場では、ジャージなどリラックスしすぎた格好は失礼にあたるので禁止しています。職員自身が利用者さんの暮らしの中に入らせてもらうことを意識して、仕事の服を選んでいます。
猿渡さん
うちは制服があって、「人の家にお邪魔しても失礼がない服」と選んだのが、カフェ店員さんのカタログだったそうです。トップスもボトムスも複数あって、個人で組合せを変えられます。
櫛田さん
職場の考え方に応じて、仕事服が決められているようですが制服・私服に関わらず、服装や髪型、身につけるもの一つで自己表現ができるんじゃないかなと思います。制服でも着方や組み合わせで「その人らしさ」って出ますよね。
赤松さん
「お気に入りのマグカップで一服休憩」とか、スタッフルームや身の周りにお気に入りの物があることで、働きやすい環境を整えたり、リフレッシュしたり。そういうところにも個性や多様性が出るのが面白いです。
猿渡さん
あと制服はフォーマルなので、現場はもちろん、急な来客にも対応できます。制服があれば仕事着を別で買わなくてもいい、という点でも職員の生活に関わってきます。仕事とプライベートは繋がっていますしね。
垣内さん
バリエーションを設けることで、制服のよさを活かしながら、個性も出すことができるんですね。支援者として自然に生活に入るときに、家庭らしさや生活感を考慮して服を選ぶ、という発想の施設は増えてきているのかもしれません。
久保田さん
福祉は高齢、障害、児童…などいろんな分野があり、利用者さんも支援内容も様々。でも、共通しているのは「利用者さんにとって一番良いのは?」ということ。制服であったり私服であったり、福祉職にいろんな装いがあるのは、どの現場でも利用者さんを一番に考えているという結果なんですね。
西村さん
働く装いから、利用者さんの暮らしに関わる際の価値観を体現できるよう、いろんな表現になっていますよね。職員がいろんな服を着て、利用者さんと和気あいあいとしているところを見てほしいです。

「こうありたい」と思う/思われる装い

西村さん
私は事務職として、フォーマルな場面ではネクタイを着用する、といったふうに、法人としてのルールはありませんが、自分の中で切り替えを意識するようにしています。
坂本さん
私も学生と接することが多いので、ジャケットを羽織ることを一つの基準にしています。でもオフィスカジュアルと言われて、何がOKかわからない時期もありました。
嶋田さん
あまりカチッとした服装すぎると、相手の緊張につながってしまうし、スマートかつ柔らかい雰囲気を出したいんですけど…服装の選択は難しいですね。
時岡さん
対応する相手で服装を選ばない、とこだわってはいます。利用者さん、ご家族、地域住民、学生、関係機関など、いつ誰と出会っても良い印象で対応できるように考えてます。
坂本さん
当法人の行動指針には、「社会福祉を担うプロとして、公私を区別し、メイクアップして仕事に臨みましょう」とあるんです。利用者さんを「さん付け」で呼ぶのと同じで、失礼のない「立ち居振舞い」ができるように。
久保田さん
なるほど。それでいうと、「人に前向きな影響を与える」ということを常に意識しているのが福祉のプロ、といえるかもしれません。
櫛田さん
うちは、上司から「美しくあれ」と言われています。福祉人材は見た目も中身も美しく、あるいはかっこよくあることが理想だと。いつも自分らしく、自信がもてるようにありたいですね。

仕事とわたしと装いと MEMBER’S CROSS TALK -END

上へ